上の地形図は東京都における渋谷区の位置を示したものです。渋谷区は武蔵野台地が海になだれ落ちる淀橋台地の先端を形成している位置にあり、上図で見られるように杉並区、中野区、世田谷区と武蔵野台地の高台から港区方向に下って行く台地の傾斜地域にあたり 大変変化にとんだ地形を形成している地域です。地下鉄が渋谷駅では地上駅となって表れて高架になっていて、この地域が低地(谷地)の底であることは有名な事柄です。最近はこの渋谷駅周辺が開発で大きく様変わりしているようでさみしい限りです。
 渋谷区の標高はどのようになっているのでしょうか?”Googole Earth”の陰影図で見てみましょう。
   
   上の地形図は渋谷区全体を少し拡大し区の地形に地名称を入れてみたものです。この丘陵名や渓谷名は渋谷区教育委員会が発行している”渋谷区史”を参考にして地形図に取り入れたものです。渋谷区は北は淀橋台地の高台の終わりにあたり”幡ヶ谷丘陵”と言う名が付けられています。その下には”駒場丘陵”、北東には”千駄ヶ谷丘陵”、東には”東渋谷丘陵、”南側は”西渋谷丘陵”があり、明治神宮や代々木公園を有する”代々木丘陵”が区の中央に位置します。それらの丘陵の間には東渋谷丘陵と代々木丘陵に挟まれた隠田渓谷、代々木丘陵の西側駒場丘陵と西渋谷丘陵に挟まれた笄町渓谷があり、現渋谷駅付近で両渓谷が交わりその先が渋谷渓谷となって港区を経て海に落ち込んでいます。また、西渋谷丘陵の南東側も深く落ち込んだ低地があり目黒渓谷となっています。このように渋谷区の標高は上の陰影図に見られるとおり、西側、武蔵野台地の終わるところ、淀橋台地の外れにあたり大変変化にとんだ地形をしています。その分標高も変化に富んでいて一番高い所で40mくらいあり区の中央付近を渋谷区を抉るように奥深くまで食い込んでいる低地があり神田川(古川)が港区に流れ込んでいるところでは標高12m以下になっています。また渋谷区は北西方が淀橋台地の端の標高の高い所にあたり区の中央を渋谷川と宇田川が北から南東にかけて低地となって縦断しており一旦標高が低くなっています。その東は皇居のある地域や港区の変化にとんだ地形へと続いています。渋谷川、宇田川、河骨川に囲まれた台地は明治神宮となっていてくっきりと台地の地形が見て取れます。普段電車や地下鉄やバスで通り過ぎてしまうことが多い渋谷区ですが、地下鉄が渋谷駅で高架となることで話題となったように東渋谷丘陵(標高36m位ある)の地中を走った地下鉄が現渋谷駅付近の標高は15m以下くらいで東渋谷丘陵の地下10m位を走っているとしても渋谷駅付近ではどうしても地上に出てしまうことがよく判ります。
 また渋谷区は渋谷川、宇田川、河骨川と名のある川に多くの支流が流れ込んでもいます。しかし現代ではその多くが暗渠化されたり埋め立てられたりして存在が定かでないものが多くありますが、江戸歩きの私としてはその辺も大変興味の湧いているところであり坂ともども”川探し”で追いかけてみたいと思います。
 ご覧のように渋谷区は北西から南東に淀橋台地が落ち込んできています。渋谷区のもっとも北西にあたる地域は幡ヶ谷丘陵と呼ばれる台地があり最も高い所では標高40m強あります。その幡ヶ谷丘陵の北側(中野区側)は丘陵からは20m近くも低くなった低地となっていて川が数筋流れていたようです。また幡ヶ谷丘陵の南東側には丁度Y字型になった谷があり幡ヶ谷丘陵を押しとどめています。そのY字型をした谷地には宇田川とその支流が流れていて、明治神宮や代々木公園とした小高い台地がその東側の神田川や河骨川とに挟まれた格好であります。その南、現在の渋谷駅付近で二つの川が合流していて駅南の稲荷橋から開渠となって神田川として流れ出ています。この神田川が渋谷区の台地を東西に引き裂いているような形で南下し恵比寿駅北側で東に向きを変え天現寺へと流れ下っています。標高も40m強の幡ヶ谷丘陵から神田川が渋谷区から流れ出る天現寺辺りではその標高も10mに満たない高さにまで落ち込んでいて、地形を見るには非常の面白味のあるところでもあります。
 では渋谷区の凸凹地形をもう少し詳しく見ていきたいと思います。
 取り込んだ地形図を拡大したり縮小したりする技はまだ未収得なので見づらいとは思いますが区全体を筋が判る程度に拡大した図を何分割化して表現しています。また、”Google Earth”で取り込んだ地形図に渋谷区役所で購入した「渋谷区 文化財マップ」(300円)に載っている川筋や坂道を取り込んだ地形図にトレースしてみました。この「渋谷区 文化財マップ」は実際に区役所の関係の方々が”区内を歩きつくして作成した.。”地図とのことで大変丁寧に文化財の位置のみならず、暗渠化された川筋や坂道も書き込まれて大変貴重な参考書となりました。他の方々が書かれた同様の書物も参考にさせていただきましたが特に川筋に関しましてはいろいろな説や考え方があり多少ですが流れが他の資料と異なっている点もありますが、あくまでも「渋谷区 文化財マップ」を基の参考とさせていただき地形図上にトレースさせていただいたことをここに記しておきたいと思います。この項を作成するに当たり渋谷区役所にはかなりの頻度で訪問をしました。そのたびに担当の方からの情報や貴重なお話をいただき大変参考になりました。この方は地形に関して大変にお詳しく自らもいろいろな資料を作成されているとのことで、私にとっては地形の先生のような方で大変に感謝しています。
   渋谷区内の坂と流れる(流れていた)川筋
  渋谷区北西部 
             
             
             
             
  渋谷区西部 
             
             
             
             
  渋谷区中央部 
   
             
             
             
             
             
  渋谷区南部