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ここからは港区の南側の残りの坂を追いかけます。数としてはあまり多くはありませんが地形図を見てもお判りのように、一帯は御殿山の北東のはずれにも位置し麻布台地のはずれとあいまって傾斜地の多いところです。 |
桑原坂、桂坂、洞坂、柘榴坂 |
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桑原坂 |
桑原坂上 |
桑原坂下 |
この坂の木標には、『今里村の地名のひとつである。その起源について、特別の説は残っていない。』と書かれています。坂は八芳園と端聖寺の間を目黒通りから桜田通りに下る片道1車線の狭い坂道ですが抜け道のようで、また八芳園があるためか非常に交通量のある坂道です。傾斜としてはあまりなく緩やかに下って行き坂下ですこし左にカーブしている昔ながらの道です。『江戸切絵図集成』近江屋版では坂右側の端聖寺は昔から同じ位置にあり日吉坂、桑原坂のある道に坂の印”△”が書かれていますが、八芳園のある土地は大久保彦左衛門の下屋敷という説がありますがここでは何も書かれておりません。
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桂坂(別名:蔓坂、鰹坂) |
桂坂上 |
桂坂下 |
この坂の木標には、『むかし蔦蔓(つたかづら・桂は当て字)がはびこっていたとも、かつらをかぶった僧が品川からの帰途急死したからともいう。』と書かれています。「今昔 東京の坂」にも”此の辺鳶かつらの多くはへしゆへ名とすといふ此説のごときは蔓坂と書くべきか又江戸砂子に鬘を掛けて身をやつせし出家の此坂にて頓死せるより鬘坂と記したり”とあります。いづれにしても説明としては”鬘をかぶったお坊さんの頓死”なんて穏やかではありません。坂はゆったりとした傾斜の坂で国道15号線と桜田通りを結ぶ道となっています。『江戸切絵図集成』には逆コの字状にクランクしている道が書かれています。近江屋版の”高輪白金辺圖”には坂名はなく、”改正芝高輪三田白金辺圖”にはクランク状の縦の位置に”カツラサカ”と読めます。坂は極々平坦なゆっくりとした傾斜の坂道です。
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洞坂(別名:法螺坂、鯔坂) |
洞坂上 |
洞坂中 |
洞坂中 |
洞坂下 |
この坂の木標には、『法螺坂、鯔坂とも書く、このへんの字(あざ)を洞村(ほらむら)と言った。洞村とは昔ほら貝が出たとも、また窪地だから、洞という等様々な説がある。』と書かれています。坂は二本榎と高輪の間にあり桂坂途中を直角に曲がったところが洞坂上となっていて、洞坂自身はクランク状に折れ曲がった傾斜はかなり急勾配な坂でしかも裏路地と言ったような狭い狭い坂道です。坂下は幕末のイギリスの公使の宿舎がおかれていた東禅寺前にでます。『江戸切絵図集成』東禅寺を挟んで二本榎と書かれた現桜田通りから現国道15号線に出る二本の道が書かれていますが、近江屋版では桂坂とは東禅寺を挟んで反対側の道には”ホラヨコ丁”と書かれた道がありますが、この洞坂との位置とは異なっています。『江戸切絵図集成』が書かれた時代には、桂坂途中からの横道は書かれていらずこの洞坂がいつの時代からのものであるかは不明です。また、近江屋版が書かれた時代のこの辺は特に複雑に入り混じった曲がりくねった道が多く書かれていて地形図をご覧になってもお判り通り逆コの字型の谷地になっているのがこんなに複雑な道となってしまったのではと推察されます。しかし尾張屋版では御殿山近くまで大名屋敷が書かれています。両方の絵図が書かれた時代の差なのでしょうか?いつか港区に行って確認してみたいと思います。ここも”地形歩き”のひとつとしてのちのち詳しく追いかけてみたいと思います。
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柘榴坂(別名:新坂) |
柘榴坂上 |
柘榴坂中 |
柘榴坂下 |
この坂の木標には、『坂名の起源は伝わっていない。ざくろの木があったためか、江戸時代はカギに曲がり、明治に直通して新坂と呼んだ。』と書かれています。坂は品川駅真向いから上って行く極なだらかな直線の坂道です。両側にはホテルが並び人通りも多いにぎやかな坂道です。切絵図の書かれた頃は、この坂の坂下から見て右側は”薩摩高輪屋敷”(現グランドプリンスホテル高輪一帯)、左側は”有馬中務下屋敷”(現品川プリンスホテル一帯)がありました。このころのこの坂道は一直線ではなくと地位でクランク状に折れ曲がっています。切絵図と比較して見ても切絵図が書かれた時代の道はなくなってしまっているように見えます。 |
これで港区に存在している名前のおある坂道を網羅してみたと思います。まだまだ細かく追跡をしていきたいところがたくさんありますが一応の完結をしたいと思います。読者の皆さま方には楽しんでいただけましたでしょうか。港区って本当に変化にとんだ地形がたくさんあるところであることがお判りいただけたと思います。もっともっと細かく歩き回って”港区特集”なんて制作するのもおもしろいかもしれません。が、とりあえず港区はここまでとさせていただきます。 |
港区の坂終わり  |
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